最近はそんなこともなくなったが、新築当時は稀に「お蕎麦屋さんかと思って…」と、ふらりと道行く人が我が家に迷い込むこともあった。
その原因は、玄関先にぶら下げてある大きな暖簾にある。
確かに普通の民家には不釣り合いなほど立派なこの暖簾、実は京都の老舗茶屋・中村藤吉さんの暖簾を作製された永野染色さんに頼んで作ってもらったものだ。
中村藤吉さんの、あのざっくりとした風合いの麻の暖簾が前々からとても気に入っていて、何とかあれと似たようなものがないかとあれこれ探していたところ、なんと父の知人が正にその中村藤吉さんの暖簾を作った人であることが判明。
渡りに船とばかりに紹介してもらい、さらにまんまと父から新築のお祝いとして暖簾を贈ってもらえることに。
デザインも一から自分達で考えてオーダーした、とても思い入れのある一品だ。
四年以上経過した今では、すっかり色褪せてしまったが、それもまたいい味になっているのではないかと思う。
木の枝にとまっている小鳥のシルエットは、当時飼っていた愛鳥がモデルだったり。
本来は左下に名字が入っていて(画像上は加工して消してある)、表札も兼ねている。
生地のアップ。
このざっくりとした感が堪らん。
こちらは本家。
最初はデザインを真似てしまおうかとも思ったのだが…
この生地の感じ!
中村藤吉を訪れる機会があれば、是非実物を手に取ってみてほしい。
本当に素敵な風合いです。
のれんのデザインを決めるにあたって作っていただいたデザイン案。
文鳥のシルエットなど、私が作成したデザイン案をもとに、幾つかの案を提示してもらったのだが、
これは、そのうちの案1-2。
文鳥と月と名字の組み合わせをどうするかが悩みどころ。
ちなみに文鳥のシルエットは、我が家で飼っていた文鳥の写真からとったもの。
名字をそのまま載せるか、家紋にするか迷ったが、
月があるので丸型の家紋は合わないということで、書体を工夫して名字を載せることにした。
同じく案2-1。枝の感じ、文鳥の位置はこちらの方が好み。
これらの案を元に、月の大きさ・グラデーションを変えてみたり、
枝の感じを変えてみたりして、最終デザインを決定した。
紙の上でデザインされたものが、麻の生地に染色されるとどんな感じになるのか、
また、玄関先に掛けるとどんな感じになるのか。非常に楽しみだ。