このところは、とにかくものが増えないように、細心の注意を払って買い物をしているので、かなりスッキリと暮らせていると思う。持ちものも、とくに長年使わずにしまい込んであるものはすこしづつ処分している。それでも捨てきれないモノがいくつかあって、たとえばこの木馬。
幼少のみぎりのわたくしに祖父がくれたもので、たぶん小学2、3年くらいまで乗って遊んでいた。
さらに、結婚したときもこの木馬を連れて実家を出たから、かれこれ50年以上のつき合い。
しかし、あまりにも古く傷んでしまったので引っ越しするたびに捨てようとするが、なぜかいつも思いとどまっている。たぶん、いまどきお目にかかれないような、手間をかけてひとつひとつ手作りされた木製玩具を、ポイッと粗大ゴミにしてしまうのが惜しかったのだろう。
それとウチの母親が、いまの皇太子がこれと同じ木馬にまたがっている写真を当時、雑誌で見た、とことあるごとにいっていたのを思い出すのだ(自分のほうが2歳年長)。
まあ、母親のことだから、またいいかげんなことをいっているのだろう、とあまり本気にはしていなかったが…。
しかし、このあいだ軽い気持ちでネットを検索してみたら、いやあ、これをインターネットの時代というのだろうか、この木馬が出てきた!
この写真をブログにアップされていた方のお父上が木馬の作者だそうで、当時、富山県の砺波の木工業者が200頭ほどを製作し、そのひとつが天皇家に献上されたとのこと。
そこで、あらためてウチの母親に聞いたところ、木馬は祖父が難波の高島屋で購入して誕生祝いにくれたらしく、かなり高価であったと。
祖父がわざわざ高かったといったのは、それだけいい品物だ、といいたかったのだろう。たしかに、それはひと目見ただけでわかる。
それにしても、同じ木馬にまたがっていたのに、この身分の隔たりは…。