30年ほどまえに観光旅行で韓国を訪れ、2週間ほど各地を気ままに回ったことがあった。
旅の終盤にソウルの仁寺洞をウロウロしてみやげものや骨董品などを漁っていたとき、李朝家具店でこの薬箪笥を見かけた。
李朝時代のものではなくレプリカ品だが、値段がかなり安かったのでこの薬箪笥と高さが150cmほどの箪笥も購入(箪笥はかさ高いので引っ越してきたときに処分した)。
しかし輸入代行業者に通関手続きをまかせたので(神戸港を指定したのに横浜港に着いた)本体の代金よりもはるかに運賃のほうが高くなってしまった。それに厳重な木の梱包で日本にやって来たから廃材の処分にも難儀した記憶がある。いまならもっとスマートに配達してもらえるんだろうなぁ…。
レプリカといっても買ってから30年の歳月を経ているので、あちこちに傷や汚れが付き真鍮の装飾もくすんできて、いまごろになって骨董的雰囲気が出てきたように思う。
まあ、扉などは一枚板ではなく化粧板を貼付けたものだから、よくよく見ればあまり重厚ではないのがバレちゃうが。
なによりも、生薬を保管するという本来の使い方をしないのだから、ある種のアンビアンスを醸し出させるために置いているようなものだ。
引き出しはたくさんあるけれど、家の中にそんなに小物があるワケではない。うかつに鍵やハンコをしまうと、どこに入れたかわからなくなるので、いまはほとんどなにも収納していない。
やや、ウチのライフスタイルに合わなくなってきているから、このところ処遇(進退)を考え中である。