ウチの間取りは西向きだが、昼間は仕事に出ているから、とくに、西日がまぶしい、とか、夏は灼熱地獄、と実感することはない。
まわりにビルやマンションが林立しているが、向かいに小さな公園があるので、それほど閉塞感もない(ときどき夜中に若者が騒いだりするが…)。
左手には澱んではいるが、かなり名の知れた川が流れていて、都会の真ん中にしては住環境はよいほうだと思う。ただ、このごろは近所に背の高いタワーマンションが何棟か建設されて、入居したときより遠くが見渡せなくなった。
夜でも地上が明るいので、どんなに空気が澄んでいても星が見えることはない。
いちおう園芸にも精を出してはいるが、西向きのベランダはハンデキャップがそうとうある。いつもなかなか上手く育てられない。
やはり、午前中に日光が届かないのに、午後からいきなり強い日差しが当たるので植物も面食らうのだろう(と適当な推測)。
手のかかる繊細な草花はあきらめて、おのずと雑草のようにたくましい品種を選ぶようになった。
じっさい、道ばたで採取した雑草の種も何種類か植えてみた。なかでもケシやスミレは毎年咲いてくれるので、いじらしく感じる。
柚子は食したあと、ダメもとで種を植えてみたら芽が出てきて、けっこう育っている。
実はつきそうにないが、春になると、どこで聞きつけたのか、アゲハチョウがこの柚子の葉に卵を産みつけにくるようになった。そのうちに、ベランダに柑橘系の匂いが漂いだす。ふ化したアゲハチョウの幼虫がムシャムシャと柚子の葉を食べているからだ。
まあ、季節のうつろいは感じられるのだけれど、柚子の葉に群がる青虫の姿はあまりエレガントではないね…。
あとは山に落ちていたツバキや芙蓉の種、食べたあとの桃の種などを植えたが、どれも2年ほどで30〜40cmの大きさになった。
さらに数年後、ツバキと芙蓉はたった一輪だけ花を咲かせた。でも、桃の実は、ならないだろうな…。