空間デザインの中村です。
今回はキッチン設置工事の流れについてご紹介します。
リフォームにおけるキッチン設置工事は大きく分けて、6つ。
①養生工事
②キッチン撤去
③設備工事(水道、ガス、電気)
④造作工事
⑤キッチン取り付け
⑥配線工事(水道、ガス、電気)
の流れになります。順を追って見て参ります。
(写真1:before)
こちらは結構古いタイプのキッチンです(見た目は綺麗ですが)。
この写真では少しわかりにくいですが、レンジフード(換気扇)の部分が近年のタイプとは大きく異なっています。
あとシンク下の収納部分が開き扉になっていますね。
今は引き出し式が主流となっており、開き扉より多く収納できるようになっています。
では工事の流れを紹介していきます。
1:養生工事(ようじょう工事)
養生工事とは既存箇所(工事をしない箇所)に汚れや傷がつかないようにする工事のことです。
キッチン工事だけでなくフローリング工事、大工工事など、ほぼ全ての工事をする際に必要な工程です。
キッチン工事の場合には荷物を搬入する際に既存のフローリングに汚れや傷がつかないように、養生シートを張ります。
出来るだけ既存のものに傷をつけないように細心の注意を払いながら工事を行います。
職人さんは本当に気を遣って作業をしているんです。
(写真2)
フローリングの上に貼ってあるのが養生シートです。
現場の作業は原則として全てこの養生シートの上で行います。
2:キッチン撤去
既存のキッチン、キッチンパネルやタイルを撤去します。撤去後はキッチンの配管が出現します。
(写真3)
キッチンを撤去した後はこのようになります。
壁に貼ってある石膏ボードが、ちょっと緑がかってるのが分かりますでしょうか??
これは耐水ボードと言いまして、その名の通り水に強い下地ボードです。
3:設備工事
そして設備工事に入ります。
「設備工事って何なの?」と思われた方も多いのではないでしょうか?
設備工事とは【給水管】【給湯管】【排水管】【ガス管】【電気線】を新しいキッチンの位置に合わせて移動することです。
(※この移動の工事のことを「仕込み」、この配管を「先行配管」と呼んだりします。)
写真3では、左がガス管とガス栓、右の白いチューブが水道管です。排水は一番右にあるグレーの排水管から流れて行きます。
これらを新しいキッチンの所定の位置に持っていく事を「仕込み」と言います。
(※このキッチンの排水管(グレーの管)、よく見ると実はコンクリートを貫通して、床下に直に流れ込んでいるんです。
詳細な説明は長くなるので省きますが、これが原因で今回は一番下の引き出しが使えなくなってしまいました…!)
「設備工事」と言葉で言うと、簡単そうですが、実はこの工事、意外と工事費がかかります。
【ガス】、【水道】、【電気】とそれぞれの担当に分かれているため、それぞれに人件費が発生するためです。
「では、もともと入っているのと同じメーカーのキッチンであれば、配管を移動させる必要がないのでは…?」
それでもやはり、設備工事は必要です。
同じメーカーの中でもシリーズや年代が変わると配水管や水栓の位置が変わってくるためです。
残念ですが仕方ありません。
ちなみに…緑色のボードの上にうっすらと赤い線が走っていますが、
これは水平を出すための「レーザー墨出し器」より発されるレーザー光線!
(写真4)
水平のラインを確認!設置前の大切な準備です。
さて、次の工程は、
4:造作工事(ぞうさく工事)
造作工事とは大工さんが行う工事を指します。まず撤去をした部分を補修します。
例えば、タイルを剥がした後は凸凹になっているので平坦にしないといけません。
その後キッチンを取り付けるための下地(ベニア板or石膏ボード)を取り付けます。
石膏ボードとベニア板では値段が大きく異なります。
ビスを打ち付けないといけない箇所(吊戸棚)の下地にはベニア板を使い、
必要のない箇所(キッチンパネル)の下地には比較的価格の安い石膏ボードを使います。
写真4の上部、吊り戸棚が付く位置にベニア板が見えますね。
5:キッチン取り付け
そしていよいよ!キッチンを取り付けていきます。
キッチンはパーツごとに分かれて納品されるため、現場で組み立てます。
現場の寸法に合わせて加工しなければいけないものもあります(例:キッチンパネル)。
基本的にはまずキッチンパネルを張り、吊戸棚をつけ、本体を組み立てていきます。
意外に簡単に付けることができるそうです!※職人さん談
メーカーによっては、曰く「職人泣かせ」の非常に手間のかかる商品もあるとか…。
(写真4)
職人さんが寸法に合わせてキッチンパネルを施工していきます。今回の現場はこの職人さんが1日かけて設置して下さいました。
(写真5)
このボンドの上に現場の寸法にカットしたキッチンパネルを貼っていきます。
丸が等間隔にある部分は団子塗りと呼ばれる塗り方です。
(写真6)
このようにキッチンのパーツを組み立てていきます。
写真ほぼ中央のスキマには…
(写真7)
どーん!食洗機です!
(写真8)
これも職人さんの手によって、キッチンの一部となります。
(写真9)
ずいぶんとキッチンらしくなってきました!
(写真10)
キッチンの天板もこのように運び、現場で取り付けています。私も持ってみましたが、すごく重かったです。
よく持てますね~、ひとりで。(感心!)
(写真8)
あと一歩のところまで来ました!
6:配線工事
最後に仕込みを行った配線・配管をコンロや水栓につなげ、扉を入れたら皆さんの良く知っているキッチンの完成です!
工事所要時間は約7~8時間。時間のかかる大変な作業です。
最後はしっかりと掃除をして完了です。