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全 1 話

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last update : 2014.7.10 施工

無垢フローリングの設置工事

空間デザインの中村です。

今回は無垢フローリングの施工についてご紹介します。

フローリングは「合板フローリング」と「無垢フローリング」に分けることができます。


無垢フローリングは自然の木そのものです。

そのため、反りや痩せによって、板と板の間に隙間が空いてきたり、逆に空気中の水分を含み太ったりもします。

完全に予測することはできませんが、ある程度の変化を踏まえた上で施工する必要があります。


設置工事は大きく分けて4段階。

1.遮音マットの設置(マンションの場合に多い)
2.現場に合わせて加工
3.無垢フローリングの設置
4.ビスで固定…です。

順を追って説明します。

こちらが施工前の写真。
元々はカーペットでした。

カーペットを思い切って剥がします。
(今回は、壁なども一緒に撤去しました。)

こちらが主役の無垢フローリングです。

今回使った木材は【ナラ】。高級家具にも使われている木材です。
昭和の時代まで、日本のフローリングはこればっかりだったそうですよ。(豆知識)


いよいよ作業開始です。

まず1.遮音マットの設置。

こちらが遮音マットです。

文字通り、下の階に音が響きにくくするためのマット。
このようにコンクリートの上に張り、この上からフローリングを張っていきます。

マンションに無垢フローリングを貼る場合には、原則として絶対必要です。

「遮音等級L45を確保すること」とマンションの管理規約によく書いてありますが、これを貼ることで無垢フローリングであっても遮音等級をクリアすることが可能です。

コンクリートの上に無垢フローリングを直接張ってしまうと、生活音が下に響いて大変なことになります。要注意です!

2.現場に合わせて加工

現場で職人さんがフローリングを室内の柱に合わせて加工していきます。

無垢フローリングは一枚が非常に高価なため、一枚一枚本当に集中して加工していました。


ただ、この時点で割れていたり、反っていたりして使えない材がすでに発生しています。
これを「ロス分」と呼んだりするんですが、その量は合板フローリングと比較になりません。

やはり自然のものはコントロールしにくいんですね...。


ちょっと余談になりますが、現場で加工、と一口で言っても合板フローリングは薄いし柔らかいので比較的簡単。

また、無垢フローリングでも杉やパイン材といった針葉樹ならまだ柔らかくて加工しやすいのですが、職人泣かせなのが広葉樹のフローリング。

タモやナラはまだしも、さらに硬いカリンやピンカドといった樹種は、「なんぼあっても足らへん」というくらい、丸ノコの刃を換え倒しながら切るハメになるとか。(職人さん談)

船の甲板に使われているような硬い、重い(水に入れたら沈むような!)樹種でウッドデッキなんかを作るのは、本当に大変みたいです。


そして、3.無垢フローリングの設置

加工した無垢フローリングを遮音マットの上に張っていくのですが、貼るときに使うのはなんと【ボンド】!!!

慣れた手つきですすすす~~~っと、手際よく無垢フローリングにボンドをつけていきます。

初めて見た時は驚きました。

イメージでは昔ながらに職人さんが釘とトンカチを使って施工していると思っていたのですが、違いました…ボンドでした。


ここで施工上の注意点があります。
【床材と床材の間、床材と壁との間に少し隙間を空ける】ということです。

無垢フローリングは水分を吸収して太ってしまう可能性があるため、予め隙間を空けて対処するんですね。

床材と床材の間は、ぴったりとくっついているようでくっついてないんです。
スペーサーという、クオカード1枚分くらいの隙間を空けて設置しています。

そして床材と壁の間もこんな風に、5mmほど空けておきます。

隙間の上には巾木(壁と床の取り合い部を塞ぐ細長い横板)を貼るので隙間が目立つことはありません。

最後に【エア釘打ち機】で、ずれないように固定します。


サクサク進んでいくように思えますが、ただダンボールに入ったフローリングを、手当たり次第片っ端から貼っていったらいい、というものではありません!

どう貼るか、も無垢材の場合は特に問われます。
色ムラと節(フシ)の多寡です。

無垢フローリングでも特にチークやアメリカンチェリー、カリンなどは、ものすごく色幅があるときがあります。

特にカリンは要注意。
なんとなく赤っぽい木、というイメージがあると思うんですが、時々黄色い部分が多く入ってくるときがあります。その色幅がカリンの魅力だったりするのですが…。

でも、LDKの床の一部が赤くて一部は黄色…となってしまうとバランスが悪い。


ダンボールから取り出した順に並べてしまうと、そうなってしまう可能性もあります。

そういったことを防ぐために、原則張る無垢フローリングを一度ザッと並べ(※これを「仮並べ」といいます。)、色と柄の調整をしてから張っていきます。

ただ、あくまで無垢フローリングは自然のものであり、調整するのも職人さんですので、工程や工期などにもよりけり…。

無垢フローリングが伸縮する性質を持っているということも合わせて、それもこれも無垢フローリングの魅力として受け入れてやる必要がある、ということですね…。

これが完成した現場です!

板、一枚一枚の表情が違うのがよくわかりますね。

無垢フローリングは日焼けや、ワックス掛けをすることにより、より良い味が出てきます。

機会があれば、ぜひ無垢の味を楽しんでみてください!

2014年 7月 4日

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