以前は築年数の新しいハイグレード・マンションに賃貸で住んでいたというSYHさん。
「ここに決めるまでもたくさんマンションは見たんですよ」と言うSYHさんが最終的に購入したのは、大阪万博の頃に開発されたニュータウンにある築40年の団地でした。
少し意外な選択にも思えますが、今回お話をお伺いすると、
SYHさんの育った場所、好きなもの、そして自分の手で住空間を作り上げたい気持ち…。
それらが重なって、辿り着くべくして辿り着いた結果だということを実感しました。
団地に辿り着く前は、どんな風に思っていたのでしょうか?
奥さま:
「以前住んでいたマンションも、最初はいいなと思いながら住んでいました。綺麗でグレードも高くて。『ずっと住みたい!』と思っていたけど、3年くらいすると飽きてきて…。賃貸というのもあったと思うのですが、これ以上この家をどうしたいという気持ちがなくて。
家探しをすることになって、同じようなマンションを探したのですが、『可もなく不可もなく』という感じで。そんなに古くないので、そのままでも使えないことはないし…」
ご主人:
「この住まいを探していた当時は、この辺りで新築マンションが4,000万円くらいで。築10年でも3,200万円くらい。あのときはずっと、この築10年くらいの『可もなく不可もなく』という感覚のマンションに3,000万円前後のお金をかけてもいいのか!?と言っていました(笑)」
悪くはないけれど、どこかしっくり来ない、そんな印象だったようです。
【慣れ親しんだ地元で暮らす】
今お住まいのこのエリア、実はご主人の地元。当時は団地に住んでいたそうです。
ご主人:
「5歳から住んでいました。万博から10年くらい経った時期ですかね。まだ街自体が新しかったので、街路樹も今よりも低くて。高校3年生で少し離れたニュータウンに引っ越したんですけど。親が遊びに来ると、街に趣が出たなって言いますね。あと友達が昔、この団地に住んでたんですよ。地元ですからね。
バルコニーから見える向かいのテニスコートとグランドは昔からあって。秋になると周りの木々が真っ赤になってすごくきれいなんです。向こうのメタセコイヤとかもオレンジ色になってすごくきれいです。目の前のが南京ハゼ、あれがトネリコ。オレンジから茶色っぽい感じに紅葉しますね」
ご主人の話からは街への愛着が伝わってきます。
【いいものを長く大事に使いたい】
奥さま:
「古いものが好き、というのも大きかったかな。主人はいいものを長く大事に使いたいタイプなので…」
たしかにお部屋のなかには、大学時代から実家にあったという暖房器具や、結婚当初から大切に使っているソファ、長く愛用している革靴など…、ご主人のエピソードを表すものがありました。
特に革靴はご主人がとても大切にされているもの。
1足1足に木製のシューキーパーをセットし、奥さま曰く「ずーーっと手入れして使っている」そうです。
「野球のグローブの感覚と一緒。時が経てばいい具合に馴染んでくる。それが魅力です」とご主人は言います。
【自分たちの手で住まいを作り上げたい】
室内は自分たちの好きなようにリノベーション。
全てを綺麗に整えてしまわないように、団地の雰囲気や素材の質感・味わいを残したリノベーションです。
DIYも積極的に。
壁面と床は自分たちで塗装し、棚を取付け、二重窓を設置(!)、小物や植物をたくさん飾り、ベランダガーデンにも着手…。まだまだやりたいことがあるそうです。
【何年住んでも飽きない団地】
ご主人の言葉が印象的でした。
「多分この雰囲気が僕たちの雰囲気だったんだと思うんですよ。前の家は決まったきれいな箱という感じだった」
「前の家はスタイリッシュな感じだったけど、今はごちゃごちゃさせたいんですよ」と、ご主人。
「以前から木は好きだったので前の家にも観葉植物は置いてましたけど、こんなにごちゃごちゃ置いていなかった。でもここだと置きたいなって」と、奥さまも。
どんどん自分たちで手を入れて、自由に住まいを変化させていくSYHさん。
すでに住み始めてから4年が経過しようとしていますが、飽きることはないそうです。
「やっぱり何年住んでもここは良いな~って思いますね。前みたいに飽きたっていうのはないですね」(奥さま)
ハイグレードなマンションに住んでみてわかったこと。
それは、綺麗で確かにいいけれど、自分たちが心地いいと思う空間を作るのには合っていなかったということ。
「そのまま使える」というのは、手を入れなくてもよい状態でもあり、手を入れる隙がないということでもあります。
自分好みの空間にしようにも、DIYの棚や集めた小物・雑貨は似合わない。
既存の空間に合わせようとすれば、自分の好みから離れてしまう…。
奥さまの言う「これ以上この家をどうしたいという気持ちがない」という言葉からも、そんな状況が伝わってきました。
団地の雰囲気を残しながらリノベーションした現在の住まいは、SYHさん夫婦の言う「ごちゃごちゃ」が似合う空間。自分たちで好きなように手を加えて、変化させることできる自由な箱です。
できるだけ元の雰囲気を残しながらのラフなリノベーションは、DIYした棚や長く愛用している家具もすっと馴染んでくれる。
まだまだ新しい印象の無垢材のフローリングも、これからさらに深みを増していくはずです。
SYHさんは、まだ箱作りの途中。
今後もその時、その時の家族に合わせて、住まいを楽しみながら変化させていくのだろうなと感じました。
- 施工・購入:
- ウィル空間デザイン → イエナカプロのページ
- 分野:
- リフォーム リノベーション
- 住所:
- 宝塚市逆瀬川1-14-6
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- 0797-72-3450
- URL:
- https://www.wills.co.jp/refor...