実家に帰る為、九州を縦断中に、熊本県荒尾市にある小代焼(しょうだいやき)の窯元の一つ、小代瑞穂窯に立ち寄りしました。
小代焼は熊本の北部エリアで焼かれる陶器で、どこか1ヶ所に焼物の町がある訳ではなく、広い範囲に窯が点在しています。
今回、伺った小代瑞穂窯は、目の前を流れる小さな川を渡ると福岡県に入る熊本の中でも北の端、県境にありました。
今回、購入したコーヒーカップ。細かく入れられた線の上を流れ落ちる白の釉薬がキレイです。
カップの内側
小代瑞穂窯の入口
この辺りは背の低い山が多く、丘陵地帯なのですが、この小代瑞穂窯のある場所は、三池山、筒ケ岳の少し高い山に挟まれた、やや山深い場所。この日は少し雨が降っていて、緑の濃い空気が漂っていました。
ここから6kmほど西へ行くと、世界文化遺産に登録された三池炭鉱 万田坑があります。
門を入ってすぐにある中庭。建物の中や軒先に、たくさんの道具や材料などが並べてあります。
人影が見えず、どこへ入ったらいいのか分からないまま、奥へ、奥へと進みました。
中庭を抜けた奥にあった民家。家の前にはこいつが番をしていました。
見ているだけですが…。
その家の前にはたくさんの陶器が雑然と並べられていて、雨にぬれています。しばらく眺めていると、隣家の人が来て、この窯元の二代目、福田るいさんを呼んできてくれました。実は並んでいた陶器は、窯出ししたばかりものもの。この民家の中もギャラリーになっていて、たくさんの作品が並べられていました。器のテイストは、日常使いを軸にモダンで力強いけれど、女性らしさのあるデザイン。和だけでなく洋のお料理にも合いそうな印象を受けました。
ひとつひとつ、釉薬のかかり具合やカタチがちがうところに味があって、自分にしっくりくるものを選ぶ楽しさがありました。
ギャラリーになっている家の中には、山猫の様な手足の太いでっかい猫がいました。名前は、『シャー』です。
福田るいさんは、とても気さくで面白いひと。父親の福田豊水さんが興した小代瑞穂窯の2代目です。
伝統の小代焼を再興しようと、民藝店を営んでいた豊水さんのもとで育ち、大学卒業後は益子で、人間国宝となった島岡達三氏に師事されています。帰郷後は、東京をはじめ、海外だとドイツなどでも器を発表しているそうです。関西にもよく展示会などで、いらっしゃるようで、私の地元、兵庫県でも作品が置いてあるお店があるそうです。(篠山市のハクトヤさんなど)
夏にはここから近い大牟田市で、ビアガーデン(営業を始めて50年を超える老舗のビアガーデン博多屋)もされています。ここのレトロなビアガーデンにもぜひ行ってみたいです。
また、るいさんのお姉さんは、有名な料理研究家 福田里香さんです。
このカップを買ってからは、朝のコーヒーはいつもこれです。コーヒーは、いつも少なめに飲むのでこのサイズが丁度よいです。(150cc)
器って、このカップで飲むと水がおいしく感じる〜とかありますが、このコーヒーカップも素材感や白い釉薬が垂れ下がってきてる動きとかその向こう側に透けてみえるヘリンボーンの模様の感じで、そこに容れる飲み物もとてもおいしく感じます。
粘土は、鉄分のはいっているものを使用しているので渋い赤茶色に焼きあがっています。